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脾臓の病気

脾臓の病気とは 慈恵医大外科での治療と成績

脾臓摘出術

前述のように、脾臓の摘出が必要な患者さんに行います。一般的には上腹部の真ん中を縦に切開するか、左の肋弓下を横に切開する方法で大きく開腹して摘出しますが、当科では1993年から腹腔鏡下脾臓摘出術を導入し、現在ではほとんどの症例において腹腔鏡での手術を行っております。

腹腔鏡下脾臓摘出術

当科における腹腔鏡下(補助下)脾臓摘出術(2003年4月~2014年3月)
腹腔鏡下(補助下)脾臓摘出術(合計) 73 人
特発性血小板減少性紫斑病 32 人
遺伝性球状赤血球症 10 人
脾腫瘍 11 人
脾機能亢進症 13 人
その他 7 人

お腹に小さな穴を開け、そこから細いカメラを挿入して脾臓を映し出します。さらに3箇所、別の穴を開け、様々な器具を挿入して脾臓を摘出します。通常の開腹手術と比較して患者さんへの負担が少なく、身体に優しい手術と言えます。慈恵医大では1993年と国内でも早期に腹腔鏡下脾臓摘出術を導入し、国内でも有数の症例数を経験しています。患者さんの内訳は表の通りです。手術時間は一般的な開腹術の場合に比べてやや長い傾向がありますが、少ない出血量と短い術後在院日数(約1週間)は、腹腔鏡下手術のメリットの現れでしょう。何より、傷の小ささが患者さんに好評で、通常は翌日から歩行や食事が可能です。

慈恵医大ではさらに2009年から単孔式腹腔鏡下脾臓摘出術 (SILS)を導入し、17例で脾全摘術を施行しています。これはお臍の1か所に穴をあけ、ポートを挿入し手術を行う方法で、従来の腹腔鏡手術と比較し遜色ない結果となっています。

最近では肝硬変などによる門脈圧亢進症の患者さんに対し、脾臓を摘出することによって門脈圧を低下させ、肝機能や食道・胃静脈瘤を改善させる試みが行われており、症例が増加しています。白血球や血小板減少といった血液異常の改善も期待されるため、インターフェロンによる肝炎ウィルス治療が行いやすくなるといったメリットもあります。

臨床試験

特発性血小板減少性紫斑病に対する脾臓摘出術を行う場合、安全に手術ができるようにあらかじめ血小板数を一定以上に保っておく必要があります。一般的には、手術の前に大量免疫グロブリンを連日に輸注して血小板数を上げて手術を行いますが、十分な血小板数が得られなければ血小板輸血を行って手術を行います。免疫グロブリンは血液製剤であり、大量投与が必要であることから、副作用として未知の感染症やアレルギー反応や過粘稠症候群などが考えられます。また、大量免疫グロブリン製剤での術前処置のマイナス面として高額な医療費があります。最近では、新しい特発性血小板減少性紫斑病の治療薬治療薬としてトロンボポエチン受容体作動薬が承認されましたが、この治療薬はアメリカ血液学会のガイドラインによれば、脾臓摘出が無効あるいは脾臓摘出術が禁忌の場合に使用することが推奨されています。
そこで当科においては血液製剤での前処置を回避するために、大量免疫グロブリン製剤のかわりにトロンボポエチン受容体作動薬(内服治療)を脾臓摘出術前に血小板数を上げるために投与する臨床試験で行っています。現在までに、3名の方が本臨床試験に登録され、全例大量免疫グロブリン投与を行うことなく腹腔鏡下脾臓摘出術(一つの傷で行える単孔式で)を施行いたしました。

問い合わせ先;宇和川 匡(肝胆膵外科)

腹腔鏡下脾臓摘出術の成績(2003年4月〜,腹腔鏡補助下手術例は除く)
患者数 62 人
開腹手術への変更率 1.6 %
手術時間の平均 193±94 分
術中出血量の平均 118±274 g

(2014年5月14日更新)