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閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症 慈恵医大外科での治療と成績

閉塞性動脈硬化症の治療

近年、血管病の危険を高めるものとして、メタボリックシンドロームの概念が提唱され、生活習慣を改善することが推奨されています。閉塞性動脈硬化症も血管病の一つとして、摂取カロリーを考えたバランスのよい食生活、適度な運動、禁煙、肥満の改善などの生活習慣の改善が、発症の予防、病気の進行を防ぐために重要です。これらのことは、閉塞性動脈硬化症の進行と関係の深い、糖尿病や脂質代謝異常症、高血圧症などの病態のコントロールにもよい影響を与えます。また、適切な薬物治療により、これらの病態をよくコントロールしておくことが重要です。その上で症状や検査所見に応じて、薬物や運動による保存治療から、カテーテルをつかった血管内治療、手術による血行再建などが組み合わされて行われます。

保存的治療

保存的な治療としては、薬物治療と運動療法があります。

薬物治療は、血小板という血液の成分の機能を押さえて、いわゆる血液をさらさらにする薬(抗血小板剤)、血管を広げる作用のある薬(血管拡張薬)、コレステロールを下げ、動脈硬化の進行を押さえる薬(高脂血症薬)などが使われます。これらは、血液の循環を改善し、プラークという動脈硬化病を安定化、または退縮させる作用があります。

また、保存的な治療としては、運動療法があります。一定の距離を歩くと脚が痛くなる状態(間欠性跛行)の場合、運動を行うことで、歩行距離が徐々に延長され、症状が改善することがわかっています。具体的には、一日数回痛みを感じるまで歩くことです。これらを毎日行うことで徐々に歩行距離が延長してきます。重篤な心臓病や呼吸器疾患がない限り、症状が間欠性跛行の段階では、まずは、これらの保存的な治療を試みます。

血管内治療

レントゲン透視装置を使用して、ワイヤーとカテーテルにより病変を治療する方法を血管内治療といいます。治療の種類としては、カテーテルの先端に風船のように膨らむバルーンにより、血管がせまくなっている場所を広げるバルーン拡張術(PTA)、金属製のチューブ(ステント)を血管がせまくなっている場所に留置し、血管を広げるステント術があります。レントゲン透視装置を使用し、造影剤を使用して、血管を造影しながら、治療を行います。局所麻酔による穿刺のみで、体に切開を入れないため、体への負担が非常に小さいメリットがあります。通常、カテーテルを使った治療は、比較的病変の長さが比較的短く、完全閉塞になっていないものがよい適応です。近年、新しいデバイス(器具)やテクニックが次々に開発され、進歩の著しい分野であります。慈恵医大では、通常は難しいとされる血管が完全に閉塞している部位や病変が長めの部位、細い血管の部位にも適応により治療を試みています。また、最先端の治療もいち早く導入し、治療を行っています。

浅大腿動脈に対するPTA(バルーン拡張)

浅大腿動脈に対するPTA(バルーン拡張)

腸骨動脈に対するステント

腸骨動脈に対するステント

末梢血管用PTAバルーン 末梢血管用ステント

手術治療

手術治療としては、人工血管や自己の静脈を使い、閉塞や狭窄のある部位をバイパスする動脈バイパス手術、完全に閉塞した血管の肥厚した内膜やカス(プラーク:粥腫)を取り除いて開通させる内膜摘除術があります。また、病変により、これらの手術治療と血管内治療を組み合わせるHybrid治療も行っています。手術治療は、血流を改善させる処置として、非常に有効な方法として確立しています。慈恵医大では、特に高い技術が要求される下腿や足の動脈へのバイパス術に精通し、治療を行っています。

足背動脈へのバイパス術

足背動脈へのバイパス術

各治療法の選択

これらの治療が成功すれば、症状を改善させることができます。間歇性跛行の症状では、歩行距離が伸び、安静時痛のある症例では、痛みの改善や壊死の危険を回避できます。壊死に至っている症例では、壊死部分を回復させることはできず、感染の予防のため切断が必要となりますが、手術やカテーテルの治療などで、血流をある程度改善させておくことで、痛みを軽減したり、切断部位を短くできるメリットがあります。

慈恵医大は、各スタッフが、保存治療、血管内治療、手術治療の各治療に精通しており、病態に応じて、適切な治療を選択いたします。設備の面でも、血管外科専用の高性能なレントゲン透視装置を備えた手術室を備えており、また、最先端の治療をいち早く導入し、積極的に行っています。治療を希望される方はご相談ください

手術室

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当科での成績

過去4年7ヶ月(2006年1月〜2010年7月)の成績です。

閉塞性動脈硬化症

バイパス手術 (内膜摘除、血管内治療のhybrid手術を含む) :168例

周術期(術後30日以内)合併症:

  • 死亡:1例(0.5%)
  • 重篤合併症(心筋梗塞、肺炎、脳血管障害など):8例(4.8%)

血管内治療 (ステント、PTAなど) :184例

周術期(術後30日以内)合併症:

  • 死亡:1例(0.5%)
  • 重篤合併症(心筋梗塞、肺炎、脳血管障害など):1例(0.5%)