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膀胱尿管逆流症(VUR) 水腎症 尿道下裂
小児外科 – 泌尿器疾患

膀胱尿管逆流症(VUR)

膀胱尿管逆流症は、小児の約0.2~1%にみられ、尿路感染を発症した患児の約30~50%に認められます。原因としては、膀胱尿管接合部の先天性形成不全による原発性と尿道弁や神経因性膀胱などの器質的・機能的下部尿路疾患による膀胱の高圧状態により起こる続発性があり、膀胱造影(VCUG)で診断が確定されます。当疾患は、放置すると尿路感染を繰り返すのみならず腎機能が障害されます。

尿路感染症(風邪症状のない高熱)を繰り返し、膀胱尿管逆流症(VUR)を疑われる場合、膀胱造影を行い評価します。まずは、尿路感染の予防のために少なめの抗生物質を服用させます。小さなお子さんは自然軽快することが多いので特に1歳までは手術は行わずに経過を観察しますが、抗生物質を飲んでいても尿路感染を繰り返したり、腎機能が増悪するような場合には1歳未満であっても手術を行います。手術は恥骨直上に約2.5~3cmの横切開を入れ、膀胱を開けて尿管を新しく吻合する手術を行います。術後5日目前後で退院となります。手術による根治性は97~98%と言われています。また、ヨーロッパ各国およびアメリカ合衆国で行われている治療法で、手術のように膀胱とお腹に創をつけることなく、膀胱鏡下に薬(DefluxR:OLC301)を注入し逆流を防止する治療も行っています。一般的にDefluxRの治療成功率は70~80%と言われています。

DefluxRによる注入治療は、2011年から日帰り手術もおこなっております。30分程度の治療で、小児の場合は、治療には全身麻酔が必要ですが、治療当日の朝に来診していただき、午後に帰宅が可能です。

下部尿路に問題がある場合は、その原因を調べ、それぞれの疾患に合った治療が必要になります。

水腎症

お母さんのお腹の中にいるお子さんの800〜1500人に一人の割合でみられ妊娠中の超音波検査で発見されますが、そのうちの半数程度が出生後も水腎症が続き、その中の3/4が出生後半年~3歳ごろまでにおよそ8割が自然に消失します。水腎症が強いもので軽快しないものは、定期的に超音波検査やアイソトープを使った機能検査を行い、腎機能障害が起きてくると症状がなくても手術をする必要があります。

また、水腎症による痛みや尿路感染および圧迫症状が見られるもの手術が必要です。手術は側腹部(脇腹)のところに3〜5cmの切開を入れお腹を開けずに背中側から手術をするのが一般的です。放置すると無機能腎となり腎臓の摘出手術が必要となることがあります。

我々の施設では腹腔鏡を用いて腎臓の摘出手術を行います。腎盂形成の入院期間は7~10日程度ですが、腎臓摘出の場合は術後5日間程度で退院が可能です。

尿道下裂

尿道下裂は外尿道口(おしっこが出る先端)が本来の亀頭の先端ではなく、それより手前の陰茎、陰嚢などに開口する先天性の尿道形成不全です。尿道の発育がその途中で停止した異常と考えられ、どの時期に停止したかにより開口部の違いがみられます。外観的な特徴として包皮腹側が欠損(亀頭が露出)し陰茎が腹側に屈曲していることがあります。排尿機能は基本的に問題となりませんが外観による心理的ストレス、屈曲による立位排尿困難や青年期以降屈曲が強くなり性交困難となることがあります。発生頻度には人種差がみられますが、本邦では1000人~1500人に1人とする調査結果があります。一部で家族内発生もみられ兄弟での発生は12%とする報告もあることから遺伝的な関与も推測されています。

外尿道口の開口部位で遠位型、中間位型、近位型に分類され、特に近位型では陰嚢の形態異常、内性器の先天異常や内分泌学的異常から性分化疾患などの原因が疑われる場合があります。

当院では遠位型、一部中間位型に対して治療を行っており、近位型のお子さんは他院へ紹介しております。手術は2歳を目安に行っており入院期間はおよそ2週間程度です。

その他

その他、小児外科で扱う小児泌尿器疾患に関しては、毎週木曜日の専門外来でご相談ください。