膵神経内分泌腫瘍
当科では膵神経内分泌腫瘍(PanNEN; Pancreatic Neuroendocrine Neoplasm、2017年のWHO分類改訂まではP-NETと呼ばれていました)に対する診療を行っています。
PanNENは10万人中5.25人に発症すると報告されており、良性から悪性のものまで存在します。またPanNENはホルモン症状が出現する機能性PanNENとホルモン症状を伴わない非機能性PanNENに分けられます。機能性PanNENはインスリンやガストリン、グルカゴンなど、ホルモンを産生する細胞から発生する腫瘍で、分泌されるホルモンの種類や量によって様々な症状が現れます。インスリンを多量に分泌するインスリノーマという腫瘍の場合には、低血糖発作が症状の中心となります。
PanNENの診断は通常腹部超音波検査、造影CT検査、MRI検査などで行いますが、当院では高い検出感度をもつオクトレオスキャンとよばれるシンチグラフィー検査を導入し、さらに内視鏡科で臨床研究として行われている造影超音波内視鏡検査も併用することでPanNENのより正確な術前診断を得られるように努めています。そしてPanNENの治療は手術による切除が基本となりますが、ホルモンによる症状のある場合や、症状がなくても1 cmを超える大きさの場合は他臓器に転移することもあるため外科的に切除することが診療ガイドラインで推奨されています。手術以外の治療法としては腫瘍の場所や転移の状態など病態に合わせて消化器肝臓内科、腫瘍・血液内科、放射線科とも連携をとりながら化学療法、放射線療法などを組み合わせて行っています。
当科におけるPanNENに対する膵切除術(2009年1月~2017年12月)
膵切除術(合計) | 39 例 |
膵頭十二指腸切除 | 14 例 |
膵体尾部切除 | 18 例 |
膵部分切除 | 7 例 |
(2018年10月1日更新)