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肝胆膵外科 – 脾臓の病気 – 脾臓の病気とは

脾臓の病気

脾臓自体の病気はそんなに多いものではありません。ただし、脾臓を摘出することによって、別の病気が改善する場合があります。代表的なものに、特発性血小板減少性紫斑病遺伝性球状赤血球症というのがあります。

■ 特発性血小板減少性紫斑病

明らかな基礎疾患・原因薬剤の関与なしに発症し、血小板数が減少するため種々の出血症状をひき起こす病気です。自分の血小板に対する抗体(自己抗体)ができ、その結果、血小板が脾臓で破壊され、血小板数が減ってしまうと考えられています。なぜ自己抗体ができるのかについては、よくわかっていません。特定の遺伝子が関係しているという報告はありません。

わが国では毎年約200名前後の発症が報告されており、人口100万人当たり11.6人が発症すると推定されます。発病から6ヶ月以内に治癒する「急性型」は小児に多く、6ヶ月以上遷延する「慢性型」は成人に多い傾向にあります。小児では男女差なく、成人では男女比1:3と、女性に多く発症します。成人では20歳代後半と40歳代後半に多いようです。症状は、血小板減少による出血傾向で発症することがほとんどで、皮膚の出血斑や歯肉からの出血、鼻血 、血尿、血便、月経過多など様々です。重症では脳出血で発症することもあります。

また最近、胃十二指腸潰瘍の原因となるピロリ菌という細菌との関連が明らかになり、この菌を除菌することによって、30%から60%の患者さんで血小板数が増加することが報告されています。小児に多くみられる急性型の大部分は自然に治癒し、慢性型に移行するものは10%程度です。慢性型でも約20%は副腎皮質ステロイドで治癒し、さらに摘脾で60〜70%が治癒します。ただし、それでも残りの約10〜20%は治療に抵抗性(あるいは難治性)で、出血に対する厳重な注意が必要とされますが、致命的な出血を来して死亡する例はまれです。

治療法としては、第一に副腎皮質ステロイドが使われますが、無効な場合には手術で脾臓を摘出することもあります(脾臓摘出術)。それでも無効の時には免疫抑制剤を用いることがあります。また、ガンマ・グロブリンを使った治療も、一過性の効果しかないことが多いのですが、有効率は高いので、手術の前や緊急時などに用いられます。

■ 遺伝性球状赤血球症

遺伝子の欠陥によって赤血球の膜に異常が起こり、本来の赤血球の形(円盤様構造)が失われて 球状を呈する病気です。この変形した赤血球は非常にもろく、脾臓で容易に破壊されてしまいます。その結果、様々な程度の貧血を呈します。重篤な場合には幼児期に現れ、軽微なケースでは成人になるまで気付かれないこともあります。脾臓が正常よりも大きくなる場合も少なくありません(脾腫)。脾臓を摘出すると、赤血球の寿命は正常に戻ります。症状としては、蒼白、息切れ、疲労、脱力感といった貧血に伴う症状のほか、黄疸が見られることがあります。治療法は脾臓摘出術です。

■ 脾機能亢進症・門脈圧亢進症・インターフェロン導入

肝硬変などにより門脈圧亢進症の状態となると難治性食道胃静脈瘤を発症したり、脾機能亢進症を発症することがあります。また慢性C型肝炎に対するインターフェロン治療を行うにあたり、脾機能亢進症による汎血球減少が問題となることがあります。この様な場合に脾臓摘出術を施行することで門脈圧亢進症の改善や、汎血球減少の改善が見込める場合があります。

■ 脾腫瘍

脾臓原発の腫瘍は比較的稀ですが、近年画像診断の進歩により、発見される機会が増加しています。脾腫瘍は悪性リンパ腫、血管腫、リンパ管腫、過誤腫、嚢胞性腫瘍、炎症性偽腫瘍、Sclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)など多岐にわたります。これらは画像診断における確定診断が難しいことも多く、悪性が否定できない場合には脾臓摘出術の適応となります。

治療法の詳細は『慈恵医大外科での治療と成績』をご覧下さい。

(2014年5月14日更新)