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慈恵医大外科での治療と成績
肝胆膵外科 – 胆管癌 – 治療の特色と成績

慈恵医大外科での治療と成績

胆管がんに対する治療の第一選択は手術です。ただし、全身が衰弱しきっていたり、心臓、肺、脳などに大きな余病があると手術は受けられないことがあります。また病気が進行し過ぎていると手術の効果が無いといわれ,このような場合は抗がん剤、放射線治療を選択します。一般的に病期分類の第Ⅲ期までが手術の対象となります。

胆管癌は肝臓側の胆管に存在する肝門部領域胆管癌と肝臓から遠い側(十二指腸側)に存在する遠位胆管癌に分けられます。それぞれの病期は以下の様に決められています。

肝門部領域胆管癌病期分類(胆道癌取扱い規約第6版より改変)

I期癌が胆管の中だけにとどまっている状態。
II期癌が胆管の外に出ているが、肝臓以外の臓器へ浸潤していないもの(肝臓にのみ浸潤している場合は含まれる)。
III期II 期より更にがんが拡がり、肝内の一部の血管に浸潤している状態。または、近傍のリンパ節に転移している状態。
IV期肝内に広く癌が浸潤した状態、または遠くの臓器やリンパ節に癌が転移している状態。

遠位胆管癌病期分類(胆道癌取扱い規約第6版より改変)

I期癌が胆管の中だけにとどまっている段階。
II期胆管と隣り合う臓器または血管に癌が浸潤している、あるいは胆管の近傍のリンパ節に転移をしている状態。
III期II 期より更に癌が拡がり、遠くの血管に浸潤している状態。
IV期遠くの臓器やリンパ節にがんが転移している状態。

特に手術治療に関して

肝外胆管は肝臓や膵臓、十二指腸の間にある臓器であり、また周囲には門脈や肝動脈という重要な血管が走行しています。癌がどの程度まで拡がっているかにより、これらの臓器を一緒に切除しなければなりません。また,胆管とその周囲のリンパ節を含んだ結合組織もまとめて切りとるのが大切です。このため、癌が存在する部位により手術方法が変わってきます。

1. 肝門部領域胆管癌
「肝外胆管切除+肝切除術」

肝門部、上部胆管にできたがんは肝臓方向に進行することが多いため、肝外胆管の切除に加え肝臓、胆嚢の切除が必要です。(肝臓の左右どちらか半分または中央を切除する)

2. 遠位胆管癌
「膵頭十二指腸切除術」

遠位胆管は膵臓内を走行しているため、遠位胆管癌では肝外胆管切除に加え、膵頭部、十二指腸、胆嚢、胃の一部を切除する必要があります。

3. 肝門部〜下部胆管までがんが浸潤する場合
「膵頭十二指腸切除術」

がんの浸潤範囲が肝門部から下部胆管まで拡がる場合、肝臓・膵臓両方を同時に切除する必要があります。

手術の危険性、合併症

胆管癌に対する手術では、いずれの場合も規模が大きくなり、肝臓や膵臓などの生命に極めて重要な臓器に直接操作が加わるため、術後合併症や手術死亡は他の臓器に比べ依然高率なのが現状です。

合併症には、出血(5%)、胆汁漏 (7%)、膵液漏 (膵合併切除47例中17例:36%)、胃排泄不全(膵合併切除47例中5例)腹腔内膿瘍 (26%)、肝不全 (5%)、肺合併症 (無気肺や肺炎など:26%)、血栓症 (2%)などがあります。…括弧内は当院での発生率。

胆管がん手術症例の予後

当院での手術を行った場合のStage別3年生存率はⅠ期:69.5%、Ⅱ期:53.9%、Ⅲ期:24.2%、Ⅳ期:0%となっております。退院後は、抗がん剤投与などの追加治療や採血、超音波、CTなどによる再発のチェックを適宜行っていきます。

胆管癌 無再発生存
胆管癌 生存

(2018年11月19日更新)

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