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小児外科 – 胆道系の病気

胆道閉鎖症

胆道閉鎖症は胆汁の通り道である胆管が閉塞する事により、胆汁が腸へ流れず、黄疸(おうだん)を引き起こす病気です。生後1ヶ月前後で便色が薄くなり発見される事が多く、生後80日以内に手術をしないと術後の経過が悪くなるといわれています(母子健康手帳の便カラーカードを活用しましょう)。早期診断が重要で、診断には便色や血液検査、超音波検査、胆道シンチグラフィーなどが参考になりますが、診断が難しい場合には、手術により直接胆道を造影する事で診断を行う事もあります。

胆道閉鎖症と診断がつけば、手術(肝門部空腸吻合術)を行います。この手術により胆汁が流れるようになるのは60-70%前後で、残りは手術を行っても胆汁が十分に排泄されず肝硬変、さらには肝不全へ移行してしまう事から、肝移植による治療が必要です。また術後に黄疸が改善しても、肝線維化(肝臓が硬くなる事)に伴う食道静脈瘤の発症には注意が必要です。我々はこのようなお子さんに対しては内視鏡科と協力して内視鏡検査や、必要に応じて静脈瘤の硬化療法をおこなっています。

胆道(総胆管)拡張症

胆道拡張症は、先天的に胆管が拡張してしまう病気で、腹痛、黄疸、腹部腫瘤、灰白色便などの症状により乳幼児期に最も多く見つかります。近年では胎児超音波検査で出生前に発見されることもあります。膵管と胆管の合流形態の異常が原因で、 膵炎や胆管炎を起こしたり、嚢腫が破裂する事で胆汁性腹膜炎を起こすこともあるため、早い時期での治療介入が必要になることもあります。また膵液が胆道内に流れ込むことによって胆管や胆嚢が障害をうけ悪性腫瘍が発症する可能性もあります。

治療としては外科手術以外の方法はなく、拡張した胆管と胆嚢の切除を行い、肝臓の側の胆管と小腸を吻合する方法(分流手術)を行います。術後は、残った胆管から悪性腫瘍の発生や肝内結石ができてしまうことがあるため、成人になっても定期的な検査などを行うことが推奨されます。