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治療の特色と成績 当科での治療成績
血管外科 – 内臓動脈瘤 – 治療の特色と成績

治療の特色と成績

 内臓動脈瘤の治療は、大きく分けて血管内治療と開腹手術に分かれます。当院では低侵襲な血管内治療を第一選択として検討しますが、複雑な内臓動脈瘤で血管内治療では該当する臓器血流の維持が困難な場合には開腹手術も行います。

血管内治療

  • a .コイル塞栓術:コイルを瘤内に詰めて破裂予防を行う治療です。
  • b.ステント留置術+コイル塞栓術:挿入したコイルが内臓動脈の主要経路に逸脱しないように同時にステント留置術も行うことがあります。
  • c.ステントグラフト術:ステント付きの人工血管で瘤を内張りし瘤への血流を遮断する治療です。残念ながら現状では承認済みデバイスが存在しませんが、他院で手術不能と判断された症例に関しては使用することがあります。
下腸間膜動脈瘤に対するステントグラフト治療

図:下腸間膜動脈瘤に対するステントグラフト治療

開腹手術

 内臓動脈の主要分枝が瘤に巻き込まれているような複雑な瘤の場合には開腹手術を行います。身体への負担は大きくなりますが、瘤の確実な処理や血行再建が可能です。巨大な瘤の場合には瘤を切除することにより腹痛など圧迫による症状の改善も見込めます。

腎動脈瘤に対する開腹手術 (自家静脈再建)

図:腎動脈瘤に対する開腹手術 (自家静脈再建)

腹腔鏡下手術

 上記治療の進歩により現在はほとんど行われませんが、他診療班と協力して腹腔鏡を用いた手術を行うことがあります。


当科での治療成績

当科での過去13年間(2006年7月~2019年12月)の成績を示します。

内臓動脈瘤(待機手術)

  • 全体:176例
    • 血管内治療:119例
      • 死亡:0例
      • 合併症:2例 (脾動脈瘤コイル塞栓術後症候性臓器虚血)
    • 開腹手術:57例
      • 死亡:0例
      • 合併症:2例 (膵十二指腸動脈瘤・腎動脈瘤術後膵液漏)
  • 脾動脈瘤
    • 血管内治療:76例
    • 開腹手術:5例
  • 腎動脈瘤
    • 血管内治療:23例
    • 開腹手術:33例
  • 腹腔動脈瘤
    • 血管内治療:8例
    • 開腹手術:5例
  • 肝動脈瘤
    • 血管内治療:8例
    • 開腹手術:8例
  • 上腸間膜動脈瘤
    • 血管内治療:3例
    • 開腹手術:6例
  • 下腸間膜動脈瘤
    • 血管内治療:1例
    • 開腹手術:0例