
食道良性疾患(食道アカラシア)専門外来(月AM,火・木9:00~15:30)
担当医:上部消化管外科 矢野文章/増田隆洋
アカラシアは食べものや飲みものが胸でつかえて落ちない特殊な病気です
1.アカラシアとは
アカラシアは、食べものが胸につかえてなかなか落ちていかず、口から吐き出してしまうといった症状が出る病気です。①下部食道括約筋(Lower Esophageal Sphincter:LES と略します)の弛緩不全と②食道の運動機能障害の2つを証明することで確定診断されます。年間発症率は10万人に1~2人と考えられており、非常にまれな病気です。病気の原因はまだ解明されておらず、食道の神経細胞の変性・減少やウイルス感染がその一因ではないかと疑われていますが、結論には至っておりません。
<アカラシアの特徴①:LESの弛緩不全>
食道と胃の境目(食道胃接合部)には下部食道括約筋(LES)と呼ばれる特殊な働きをする筋肉が存在しています(図1)。LESは普段は収縮して食道胃接合部を締めつけており、胃液が食道へと逆流するのを防いでくれています。食べものが飲み込まれた時には、それまで締まっていたLESは弛緩します(緊張がとれ、ゆるむということです)。このLESの弛緩によって、締まっていた食道胃接合部は開き、食道の中にある食べものは胃へと速やかに流れ落ちます(図2)。食べものが流れ落ちたあとには、LESはふたたび収縮し、胃に落ちた食べものが食道に逆流してこないようにしてくれます。このようにLESは食べものの通過と逆流の防止のどちらにとっても重要な役目を担っています。

図1 下部食道括約筋(LES)

図2 健常者が水を飲んだ場合
アカラシアの患者さんでは、LESがゆるまなくなり、収縮しっぱなしになってしまっています(LESの弛緩不全と言います)。食べものを飲み込んでもLESが弛緩しないため、食べものがいつまでも食道に残ってしまいます(図3)。このため患者さんは食べものを飲み込みにくい、なにかつかえた感じがする、吐いてしまうなどといった症状に悩まされるようになります。ひどい場合には水もつかえて落ちなくなってしまい、体重が1~2カ月で10 kg以上も減ることがあります。アカラシアの患者さんの中には、日中に食べたものがずっと食道の中に残っていて、寝ている最中にこれが口や鼻に逆流して枕もとが汚れてしまったという経験を持つ方が多くいらっしゃいます。また、知らず知らずのうちに逆流したものが肺に流れ込み、肺炎(誤嚥性肺炎)を繰り返したり、咳で苦しめられたりする患者さんもいらっしゃいます。

図3 アカラシアの患者さんが水を飲んだ場合
<アカラシアの特徴②:食道の運動機能障害>
アカラシアでは食道の運動機能も障害されます。健常者では食べものが飲み込まれると、食道は食べものを胃に送り込む収縮波を生み出します。これを蠕動運動と言います(図4)。アカラシアでは食道の蠕動運動がまったく無くなってしまい(無蠕動と言います)、食べたものを胃に送り出せなくなってしまいます(図5)。また、突発的に食道のけいれんを起こすこともあります。アカラシアの患者さんでは、強い胸の痛みを訴えることがありますが、この痛みは異常な食道収縮(食道のけいれん)と関係している可能性があると私たちは考えております。アカラシアの約40~50%の患者さんに胸痛がみられ、ときには心筋梗塞と間違えるほど強い痛みの場合もあります。循環器内科を受診し、様々な検査を含め診察したところ異常が見当たらず、結局はアカラシアの症状であったという方もいらっしゃいます。

図4 食道の正常な蠕動運動

図5 アカラシアの食道では蠕動運動が消失
2.診断方法
<高解像度食道内圧検査(HRM)>
アカラシアの診断は高解像度食道内圧検査(ハイ・レソリューション・マノメトリー[High-Resolution Manometry:HRMと略します])という特殊検査によって行われます。HRMは食道の圧力や蠕動運動を計測する検査です。直径5.5 mm程度の圧力センサーが1 cm間隔に36個配置されたカテーテルを用います(図6)。カテーテルは鼻から入れて、食道内に留置した状態で少量の水(5 mL)を20回前後、飲んでもらいます(図7)。検査時間は20~30分です。健常者では水を飲み込むと食道の蠕動波がみられますが(図8)、典型的なアカラシアでは食道の収縮がまったく無くなってしまいます(図9)。 胃カメラやバリウムの検査では、食道運動機能の異常を見つけることはきわめて難しいため、アカラシアを含む食道運動機能の病気が疑われる場合にはHRM検査が最も有効な検査方法です。HRM検査によって、これまでアカラシアの診断がつかなかった患者さんの中に本当はアカラシアであった方もいらっしゃることが分かってきました。当院では、このHRM を日本でも早い時期から導入しており、現在、年間の検査数は150件前後です。HRMは一般的な検査ではないため、この検査機器を備えている施設はごく限られています。

図6 高解像度食道内圧検査(HRM)機器

図7 高解像度食道内圧検査(HRM)の検査方法

図8 健常者のHRM所見

図9 アカラシアのHRM所見
<バリウム検査>
バリウムを飲んで頂き、食道から胃にバリウムが流れる様子を観察します。健康な方の食道の横径は3 cm 弱ですがアカラシアの患者さんではLES が 閉じたままの状態であるため、食道が拡張していることが多く、なかには6 cm 以上になってしまう方もいらっしゃいます。バリウム検査の結果から、食道の最大横径を測定するとともに形状を判定します。これが日本食道学会の拡張度分類と拡張型分類です。この分類の作成に当院は携わっております。(アカラシア取扱い規約,第4版)
拡張度分類: | 食道の横径から3.5cm 未満をI度、3.5 cm 以上6.0 cm未満を II 度、6.0 cm以上をIII 度と分類します。 |
拡張型分類: | 食道の形から直線型(St 型)、シグモイド型(Sg 型)、進行シグモイド型(aSg 型)の3種類に分類します(図10)。 |

図10 アカラシアの拡張型分類
また、当院では手術前後に特殊な食道造影検査を行っております。この方法は、Timed Barium Esophagogram(TBEと略します)という名前がついておりアカラシアの病態評価として欧米で開発されました。薄めたバリウム200mlをなるべく早く飲んでいただき、時間を追ってレントゲン写真撮影をすることで(5分間)、下部食道における通過障害の程度を評価するものです。当院ではこの検査を術後にも定期的に行い、手術によりどの程度通過障害が解除されたかを判定しています。
<上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)>
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は、癌などによる下部食道による通過障害を除外するために重要です。アカラシアの患者さんは食道癌の発生リスクが一般の方と比較して10~15倍程度高いことが知られています。このため食道癌検診のためアカラシアの治療後も1年に1回の内視鏡検査を強くお勧めしております。
3.治療方法
治療方法には大きく、1. クスリ、2. 内視鏡(胃カメラ)を用いた治療、3. 腹腔鏡手術があります。
1. クスリによる治療
アカラシアは下部食道括約筋(LES)が閉じたままの状態であるためLESの圧を下げる作用のある薬を用います。具体的にはカルシウム拮抗薬,亜硝酸製剤などを用いますがあまり効果的ではありません。とくにシグモイド型のような病態が進行した状態では効果はほとんど期待できません。またカルシウム拮抗薬は血圧を下げるクスリですので、血圧の低い方には投与することができません。この他、胸痛に対しては自律神経を穏やかにする薬や漢方薬(芍薬甘草湯など)を用いることもあります。
2. 内視鏡(胃カメラ)を用いた治療(バルーン拡張とPOEM)
<バルーン拡張>
内視鏡(胃カメラ)を使って、LESを風船(バルーンと言います)で拡げてあげる治療です。バルーンを膨らませてLESの筋肉を裂くことで、食道から胃への流れを良くします。ただし、LESにも通常の筋肉と同様に弾力性がありますので、バルーンで弾力のある筋肉を引き裂くことは難しい場合が多く、繰り返し行うことも珍しくありません。バルーン拡張を繰り返し行うと下部食道周囲の炎症をきたし、もし手術療法が必要となった場合、手術による粘膜損傷などのリスクが高くなるという報告もあります。
<POEM:内視鏡的筋層切開術>
POEM(内視鏡的筋層切開術)は、内視鏡(胃カメラ)を用いて、LESを電気メスで切開する方法です。内視鏡で食道の粘膜の下にトンネルを掘り(粘膜下トンネルと言います。図11)、このトンネルの中で電気メスを使ってLESを切開します(図12)。近年、多くの国でPOEMが行われるようになり、良好な成績であることが数多く報告されております。ただし、食道から胃への通過が良好になると同時に、胃液や胃内容物が食道に逆流し易くなります。慈恵医大ではこれまでにPOEMを100件以上行っています。

図11 粘膜下トンネルと食道の横断面

図12 胃カメラによるLESの切開
これまでのところ、重篤な術中・術後の合併症は2例のみ(誤嚥性肺炎1例、気胸・縦隔膿瘍1例)で,みなさま良好な治療経過をたどっておられます(2025年3月現在)。今後も適応を十分に考慮したうえで行っていく予定です。
実際の手順(POEM)
- まずはじめに食道の粘膜に孔をあけ内視鏡を挿入するための入り口を作成します。この手技は、食道癌などに対する内視鏡治療を応用して行います。
- 筋層切開を行うための準備として,先ほど作製した穴から内視鏡を挿入し,下方に(胃に)向かって粘膜と粘膜の下にある筋肉との間に内視鏡の通り道となるトンネル(粘膜下トンネル)を作製していきます。これにより十分な空間が確保されますので筋層切開を安全に行うことができます。
- 食道には内側(粘膜側)より2重に筋肉が重なっており,内側を輪状筋,外側を縦走筋という筋肉で構成されています。これらのうち,内側にある輪状筋のみ(LESは輪状筋に含まれています)を内視鏡を用いて食道から胃に向かって下方に切開していきます。
これにより広がりの悪かった食道が徐々に広がるようになっていきます。 - 最後に内視鏡の通り道の入り口となっていた孔をクリップという金具で閉じて手術は終了です。
- ①~④までの操作により治療が終了します。





3. 腹腔鏡手術
傷の小さな腹腔鏡を使った手術です(図13)。もっともエビデンスが確立された治療方法で、その有効性について非常に多くの論文が発表されています。まず通過障害を治す目的でLESを含めた食道から胃にかけて筋肉(縦走筋と輪状筋)を切開します。筋肉は食道の半周ほど粘膜からむきます。これをヘラー(Heller)の筋層切開術と言います(図14a)。こうすると食道の前面は粘膜だけになります。食道粘膜は非常に軟らかいため食事の通過は良好となり、つかえ感などの症状はほとんど消失します。
しかし、このままだと今度は胃から食道にものが逆流するようになってしまいます。胃を食道に巻き付けると逆流防止弁ができます。胃の巻き付け方法はいくつかありますが、ヘラーの筋層切開術によって粘膜がむき出しの状態ですので、通常はこの部分を覆うように胃を巻き付ける方法を行っています。これをドール(Dor)の噴門形成術と言います(図14b)。 ヘラーの筋層切開術とドールの噴門形成術を合わせて、腹腔鏡下ヘラー・ドール手術と言います。慈恵医大外科学講座では、これまでに腹腔鏡下ヘラー・ドール手術を700件以上行っています。

図13 腹腔鏡手術の傷

図14 腹腔鏡下ヘラー・ドール手術
実際の手順
1. はじめに下部食道括約筋(LES)部を含む食道を全周性に剥離します。この際、食道の前後面にある大切な神経(迷走神経)は必ず温存します。

腹部食道の露出
2. 胃の上部と脾臓の間にある血管(短胃動静脈)を切離しておきます。このことで胃の可動性が高まります。

短胃動静脈の切離
3. 食道ブジー(柔らかい棒)を口から挿入した後、LES部から食道側へ6cm、胃側へ2.5cmに渡り食道の筋肉を電気メスで切開し、食道の前側が半周にわたり粘膜が露出されるようにします(ヘラーの筋層切開術)。

筋層切開(Hellerの手術)
4. 食道の粘膜が露出されている部分を胃で覆います(ドールの噴門形成術)。

噴門形成(Dorの手術)

噴門形成部と周囲との固定
アカラシアの手術前と手術後のバリウム検査の様子

直線型, II 度の患者さんです。
手術後にはバリウムの通過が良好となっておりほとんど食道の中に
バリウムが停滞しないことがお分かりいただけると思います。
単孔式腹腔鏡手術(Single Incisional Laparoscopic Surgery;SILS)
また、当院では単孔式腹腔鏡手術(Single Incisional Laparoscopic Surgery;SILS)を積極的に取り入れており、これまでに50人の患者さんにヘラー・ドール手術をSILSに準じて行いました(2025年1月現在)。通常の腹腔鏡による手術が5か所の小さな傷からの操作で行うのに対し、SILSは臍の傷で行う方法で、特に欧米で始められた手技になります。当初、当施設では完全に臍の1箇所のみの傷で手術を行っておりましたが、手技が煩雑となることで安全性や確実性に劣る危険性があると判断し、8人の方を手術したあとは、臍の傷の他に1つ傷を追加する方法にて行っております(SILS+1)。この術式のおもな利点は美容面にあります。ただし、操作が複雑となるため高度な技術を要しますので、従来の方法に比較し手術時間は長くなる傾向にあります。この方法での手術をご希望される場合にはご相談下さい。患者さんの病態により施行可能か判断させていただきます。また、最近ではより小さな傷での手術を目指し、一部細径鉗子(従来のものより細く傷も小さくなる)を使用した手術も取り入れており、これまでに61人の患者さんに行ってまいりました(2025年1月現在)。
当院では現在、POEMも導入したことにより、これまでの腹腔鏡手術だけではなく、日本でアカラシアの患者さんに行われるすべての術式が施行可能となっております。このため各術式の利点や欠点を含め十分なご説明をさせていただき、患者さんのご希望に沿った治療法を選択していただくことでみなさまに納得のいく治療を提供することができていると自負しております。そして各々の治療法における利点・欠点を加味し、これまでの多数の手術経験をふまえた上での治療方針の決定など、当院ならではの特徴を生かしてこれからもアカラシア患者さんの治療に携わっていきたいと考えております。この一つとしまして、現在、治療に抵抗性の激しい胸痛を伴うアカラシア患者さんに対して慈恵医大独自の新しい術式(腹腔鏡下食道筋層全周切開術:Circumferential Heller Myotomy;CHMと略します)を考案しており、当大学の倫理委員会の承認を得て臨床試験を行っております。この新たな術式(CHM)の短期成績については2020年に日本食道学会の英文誌であるEsophagusにて報告致しました(Yano F, Masuda T, Omura N, et al. Circumferential Heller myotomy can relieve chest pain in patients with achalasia: a prospective clinical trial. Esophagus. 2020 Oct;17(4):468-476.)。これまでに35人の患者さん(2025年1月現在)にご賛同いただき同手術を行いましたが、すべての患者さんで胸痛の消失もしくは改善がみられております。

腹腔鏡下食道筋層全周切開術(CHM)

またこれは当院の責務と考えておりますが、引き続きアカラシア患者さんに最良の治療を提供すべく各術式の利点・欠点および工夫など、更なる検討を加えていきたいと考えております。
以下に当院で行うことのできる腹腔鏡下手術(LHD)、傷の数を減らした(SILS+1)もしくは傷の数は減りませんが傷を小さくした(細径鉗子使用)腹腔鏡手術およびPOEMのそれぞれの特徴についてお示しします。
当院での施行開始時期 | |
---|---|
LHD | 1994年8月 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 2011年7月 |
POEM | 2016年1月 |
当院での治療人数 (2025年1月現在) |
|
LHD | 614人 |
SILS+1 / 細径鉗子 | SILS+1(SILS):50人 細径鉗子:61人 |
POEM | 106人 |
内視鏡 | |
LHD | 使用せず |
SILS+1 / 細径鉗子 | 使用せず |
POEM | 使用 |
腹腔鏡 | |
LHD | 使用 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 使用 |
POEM | 使用せず |
体表の傷 | |
LHD | 5か所 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 2もしくは5か所 |
POEM | なし |
麻 酔 | |
LHD | 全身麻酔 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 全身麻酔 |
POEM | 全身麻酔 |
手術時間 (麻酔時間も含めて) |
|
LHD | 2〜3時間 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 3〜4時間 |
POEM | 1.5〜2時間 |
筋層切開の長さ (食道側+胃側) |
|
LHD | 約10cm |
SILS+1 / 細径鉗子 | 約10cm |
POEM | 制限なし |
胃から食道への逆流防止手術 | |
LHD | あり |
SILS+1 / 細径鉗子 | あり |
POEM | なし |
術中合併症 | |
LHD | 粘膜損傷、出血など |
SILS+1 / 細径鉗子 | 粘膜損傷、出血など |
POEM | 出血、食道穿孔など |
術後の創痛 | |
LHD | あり(軽度) |
SILS+1 / 細径鉗子 | あり(軽度) |
POEM | なし(胸痛あり) |
術後の入院期間 | |
LHD | 4日 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 4日 |
POEM | 4日 |
術後逆流性食道炎発生 | |
LHD | 約 15% |
SILS+1 / 細径鉗子 | 約 15% |
POEM | 約 40% |
長期成績 | |
LHD | 良好 |
SILS+1 / 細径鉗子 | 良好 |
POEM | 検討中 |
LHD | SILS+1 / 細径鉗子 | POEM | |
当院での施行開始時期 | 1994年8月 | 2011年7月 | 2016年1月 |
当院での治療人数 (2025年1月現在) | 614人 | SILS+1(SILS) : 50人 細径鉗子 : 61人 | 106人 |
内視鏡 | 使用せず | 使用せず | 使用 |
腹腔鏡 | 使用 | 使用 | 使用せず |
体表の傷 | 5か所 | 2もしくは5か所 | なし |
麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
手術時間 (麻酔時間も含めて) | 2〜3時間 | 3〜4時間 | 1.5〜2時間 |
筋層切開の長さ (食道側+胃側) | 約10cm | 約10cm | 制限なし |
胃から食道への 逆流防止手術 | あり | あり | なし |
術中合併症 | 粘膜損傷、出血など | 粘膜損傷、出血など | 出血、食道穿孔など |
術後の創痛 | あり(軽度) | あり(軽度) | なし(胸痛あり) |
術後の入院期間 | 4日 | 4日 | 4日 |
術後逆流性食道炎発生 | 約 15% | 約 15% | 約 40% |
長期成績 | 良好 | 良好 | 検討中 |
治療法の詳細は、『慈恵医大外科での治療と成績』をご覧下さい。
3. アカラシアの不安や悩みを分かち合うコミュニティ
アカラシアは年間発症率が10万人に1~2人と考えられており、非常にまれな病気です。そのため、アカラシア患者さん同士が知り合う機会はほとんどありません。慈恵医大ではこれまでに800人以上のアカラシア患者さんと向き合ってきましたが、「先生、こんなにおかしな症状は自分だけでしょうか?」「自分だけがどこか変なのでしょうか?」と沈んだ目でお話しされる患者さんが多くいらっしゃいました。
同じ病気の悩みや不安を誰かと分かち合うことができずに一人で抱え込むことは、一日一日、生活にくらい影を差し続けます。過去には対面での患者会の開催を検討しておりましたが、コロナ禍を経験した現在において直接会っての集会には抵抗感を覚える患者さんも少なからずいらっしゃいます。
私たちは2022年よりオンライン患者会として、疾患サポートコミュニティ・アプリであるDOCEO(ドケオ)の開発に携わってきました。2023年より公開し、スマートフォンさえあれば、どこにいても365日、同じ病気の患者さんのリアルな声を匿名でみることが可能になりました。2025年中にはアカラシア症状の自己管理機能を追加し、診察室外でも患者さんをサポートできる診療基盤が整う予定となっています。
(2025年4月更新)