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腹腔鏡下胆嚢摘出術について 総胆管結石の治療について
肝胆膵外科 – 胆石症・胆嚢ポリープ – 治療の特色と成績

腹腔鏡下胆嚢摘出術について

胆嚢は解剖学的に頚部(出入口)が奥まって体の背中側にあるため、胆嚢を摘出する場合には深いところでいろいろな脈管の処理が必要です。昔ながらの開腹手術で行う場合には、一般に15〜20cmの皮膚切開が必要でしたが、現在行なわれている腹腔鏡下の手術では、お腹に5mm〜2cmの傷を計3〜4ヵ所置くだけで手術ができます。このため、開腹手術より体の負担が少ないことが特徴です。但し開腹手術に比べて安全性が高いというわけではありません。

入院期間

胆石・胆嚢ポリープに対する腹腔鏡下胆嚢摘出術では、外来初診後は数回の通院で検査・入院手続きを済ませていただき、入院後はクリニカルパスに従って前日入院・術後3日での退院を原則としています。

合併症

腹腔鏡手術の方がむしろ深いところを拡大して観察できるため、安全という面もありますが、視野と使われる道具が限定され、実際に胆嚢を手で触って感触を確認できない、立体的ではないテレビ画面を見ながら手術をしなければならないなどの制限があるため、独自の危険があることも指摘されています。起こりうる合併症として出血、胆道損傷などがあり、場合により開腹下での再手術が必要となることがあります。最近の全国統計では腹腔鏡下手術での胆道損傷の発生率は0.64%と報告されています(日本内視鏡外科学会、平成23年)。

成 績

腹腔鏡手術の中ではもっとも早くから導入された手術で、当院でも1990年とその黎明期から開始しています。当院では導入以降、3,000例の腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われています(2018年6月現在)。当初腹腔鏡で開始して途中から開腹手術に変更になる率は4.1%(待機手術で胆嚢炎を合併していなければ1.2%)、腹腔鏡下手術後の入院期間は3〜5日、当院における胆道損傷の発生率は0.40%です。


総胆管結石の治療について

総胆管結石症例は、内視鏡的な結石除去を第一選択としています。胆嚢と総胆管の両方に結石がある場合、手術前に内視鏡部に総胆管の内視鏡治療を依頼し、手術ではできるだけ腹腔鏡下に胆嚢摘出のみを行う方針を採っています。

しかし、内視鏡的な結石除去が困難な場合には腹腔鏡下の胆嚢摘出術に加えて、総胆管の切開を行い、その切開部位から胆道鏡を挿入し、採石術を一期的に行うことがあります。

(2018年9月4日更新)