下部消化管外科 ヒーローイメージ
入院期間 治療成績 治療の選択肢 クリニカルパスの実例
下部消化管外科 – 大腸癌 – 慈恵医大外科での治療と成績

入院期間

入院は通常は手術の1日前(日曜が入る場合は2日前)で、特に問題がなければ術後8から10日で退院です。したがって入院期間は10~14日ですが、もちろん個人差がありますし、患者様の基礎疾患(心臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病など治療中の病気)の有無や合併症の発生などで変わってきます。当科の平均では腹腔鏡手術で術後入院日数は平均10日でしたが、これは患者さんやご家族の希望で週末退院をご希望される方が多いので少し長くなっているためです。退院可能な日付で計算すると少し早くなると思われます。


治療成績

附属病院における2006年~2017年の結腸・直腸癌手術の治療成績です。

大腸癌5年生存率(2006年~2017年 計1703症例)

 結腸癌 5年生存率
直腸癌 5年生存率

大腸癌カプランマイヤー

結腸癌 カプランマイヤー
直腸癌 カプランマイヤー

治療の選択肢

治療法の選択肢はさまざまです。以下にその詳細を記します。

1. 手術療法

そこにある病巣を除去できる考えうる限り確実な方法です。しかし、手術に伴う合併症の発生率のリスクを負わなくてはなりません。遠隔転移のない場合は第1選択となることが多いです。また、遠隔転移があっても切除可能でとりきれると判断できれば第一選択となります。

2. 化学療法

いわゆる抗がん剤治療。抗がん剤は以前とは違いかなり効果が期待できるようになってきました。しかし、まだ抗がん剤だけで癌が完全に消滅できるほどまでには至っていません(そういうこともあると思いますが率はかなり低いと思われます)。また、患者様個々で効果が違い、効果が期待できるかどうか判定が難しいです。抗がん剤の副作用も考慮しなくてはなりません。遠隔転移のある場合は第1選択となることが多いです。

3. 放射線療法

直腸癌や直腸癌の局所再発(骨盤内)、骨転移に対する疼痛除去などに適しています。結腸癌では適応はありません。手術と同じく局所に対する治療法です。手術や化学療法のようなリスクはありませんが、放射線性腸炎、放射線性膀胱炎、骨髄障害などの発生リスクがあります。

4. “治療をしない”という選択

最後に選択肢としては“治療をしない”という選択があることを覚えておいてください。病気があるからといって治療しなければならないという規則はないのです。上記治療法は患者様ご本人が治療を理解し、ご希望されて始めて成立するものなのです。だからこそ、ご本人がすべてを理解した上で“治療しない”を選択された場合は、それが一番正しい治療法となるかもしれません。


クリニカルパスの実例

実際に患者さんにお渡ししているクリニカルパスの実例として、結腸切除の入院診療計画表をこちらからご覧戴けます。

入院診療計画表(結腸切除)

※ 別ウィンドウで開きます
※ 印刷物から起こした物ですので、実際のものと様式は異なります

下部消化管外科トップへ 大腸癌とは 慈恵医大外科での治療と成績