血管外科 ヒーローイメージ
閉塞性動脈硬化症とは? どんな症状があるの? 閉塞性動脈硬化症の危険因子は? 閉塞性動脈硬化症の検査は?
血管外科 – 閉塞性動脈硬化症 – 閉塞性動脈硬化症とは

閉塞性動脈硬化症とは?

 動脈硬化とは、文字通り、体の血管が硬くなるのですが、これは動脈の壁にプラーク(よごれ)が付着することで血管の内腔が細くなり、最終的に詰まってしまう病的な状態です。動脈硬化は全身の動脈に生じますが、特に下肢に高頻度に起きた場合、閉塞性動脈硬化症と呼んでいます。近年、日本でも食生活、生活様式の欧米化、平均寿命の延長による高齢化などにより、閉塞性動脈硬化症に罹患する患者さんは著明に増加してきています。

どんな症状があるの?

 閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって血管が狭くなり詰まってしまうことで、血流が低下し、種々の症状を引き起こします。閉塞性動脈硬化症の症状は、その重症度により、以下の4段階に分類されています(Fontaine分類)。

 第一段階(I度)は無症状のものですが、第二段階(II度)としては、一定距離を歩いたときに脚が筋肉痛のように痛くなり、しばらく休むと痛みが改善する、間歇性跛行という状態に至ります。これは一定距離の歩行によって必要になった酸素を血流によって供給できなくなると、酸欠(虚血)となり足の痛みが生じ、休息によって虚血状態から解除されるため痛みが消失します。足の血流低下がさらに進行すると、歩行可能距離が次第に短くなり、日常生活に支障を来たすようになります。第三段階(III 度)は、安静にしているときにも脚が痛む、安静時痛と呼ばれる状態になり、第四段階(IV 度)では、とうとう足の趾(ゆび)や踵などにびらんや潰瘍ができ、最終的には、黒色化し、壊疽に至ります。閉塞性動脈硬化症は一般的には徐々に進行していきますは、特に潰瘍や壊疽があると、細菌感染を併発しやすく、ひとたび感染が起こると細菌が全身に波及し、骨髄炎や敗血症により体の状態が急速に悪化することがあります。このような状態にまで悪化すると足の切断が必要となることもあるため、適切なタイミングでの治療が必要となります。

 なお、間歇性跛行の症状は脊柱管狭窄症という背骨が神経を圧迫する病気でも起こることがあり、鑑別が必要になります。

閉塞性動脈硬化症の危険因子は?

 動脈硬化を来たすには、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常(LDLコレステロールの上昇)、喫煙などが危険因子となります。一番大事なことはこれらの動脈硬化を来たす要因を減らすことです。閉塞性動脈硬化症は、あくまで全身で起きている動脈硬化の一部に過ぎず、閉塞性動脈硬化症の患者さんは、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全(慢性腎臓病)といった足以外の他の臓器の動脈硬化を合併する場合も多いため、体全体の動脈硬化を予防していくことが重要になります。

閉塞性動脈硬化症の検査は?

 身体検査として、足の皮膚の色合いや血色、動脈の脈拍が触れるかどうかが基本となります。足の動脈は、足の付け根(鼠径)、膝のうら(膝窩)、足の甲、くるぶしで触れることができます。動脈硬化によって血管が狭くなったり、詰まったりした場合は、脈拍が弱くなったり、触れなくなります。生理的検査としては、上腕・足関節血圧比(ABI)もよく使われます。これは、腕の血圧と足首の血圧の比をとります。通常、動脈硬化は足の血管に起こりやすく、足の血流が悪くなると、足首の血圧が下がります。ABIの低下があり(0.9未満)、かつ、なんらかの症状がみられるときは、足の血流障害を強く疑います。画像検査としては、MRI, CT, 超音波やカテーテルを使った血管造影検査があり、これらを適宜使用して血流低下の程度と、動脈のどの部位に病気があるのかを評価します。

血管外科トップへ 閉塞性動脈硬化症とは 治療の特色と成績