治療の特色と成績
頚動脈狭窄が50%以下なら高脂血症薬や抗血小板薬の投与などで内科的治療をおこないます。また、悪化していないことを確認するために、定期的な超音波検査などをする必要があります。頸動脈狭窄が50%以上で片目が見えにくい、片方の手足がしびれているなどといった脳梗塞の症状が認められる場合、外科的治療をおこないます。さらに、脳梗塞の症状がない無症候性でも、頸動脈が80%以上詰まっている場合は、治療を検討します。外科的治療方法は手術と血管内治療(ステント)がありますが、どちらの治療法も一長一短があります。当科では、患者の病状にあわせベストな方法を選択します。
手術は、頸動脈内膜剥離術であり、全身麻酔で首に縦に3cm程度の皮膚切開を置き、頸動脈を露出します。血流を一時的に遮断し、頸動脈のプラークを切除した後、再度狭くならないように慎重に血管を縫合します。
当科での手術時間は1〜2時間程度で、傷はかなり小さいためほとんど目立ちません。
ステント治療(血管内治療)は、心臓病や肺気腫などの病気があり全身麻酔がかけにくい場合、または、病変が下あごに近いなどの高い位置にある場合に行います。足の付け根を局所麻酔し、足の付け根の動脈にカテーテルを入れ、エックス線で確認しながら形状記憶合金でできたステントを頸動脈に留置します。プラークをカバーするようにステントを置くことでプラークが剥がれないように固定します。なお、当科ではステント留置中にプラークが脳に飛ぶことを防ぐフィルターを使用しています。
ステント治療

ステント治療

当科での成績
当科での過去13年間(2006年7月~2019年12月)の成績を示します。
- 内膜剥離術(CEA):177例
- 手術死亡:0例
- 周術期合併症
- 脳梗塞:3例(1.6%)
- 脳過灌流症候群:1例 (0.5%)
- 頸動脈ステント(CAS):57例
- 手術死亡:0例
- 合併症
- 眼動脈閉塞による視力低下:1例(1.7%)
- 脳梗塞:3例(5.2%)